2020.08.13
この言葉は
人権として問題が有りますので今では使用しておりません。
今は、『施食』としております。
字のごとく、「食を施す」です。
『餓鬼』とは、仏教での六道輪廻の世界、
六道、六趣の一つとされておりますが、
六道とは、
1、地獄ー自らの悪い業、行いによって苦しみの状態
2、餓鬼ー足ることを知らず欲求不満である状態
3、畜生ー愚鈍で、他のことを考えず、生命の本当の尊ささえも知らず、考えない状態
4、修羅ー不安一色。気持ちが落ち着いていない状態
5、人間ー苦楽があいなかばで、自他ともに無関心な状態
6、天道ーしあわせ絶頂であり、有頂天にもなっている状態
このように六道とはありますが、
本質的には、人間である私たち一人ひとりの内面に起こる、いろいろな心理状態を具現化されたものであります。その心理状態を正すのが坐禅なのかもしれません。
また、お釈迦さまや道元禅師さまは
霊魂であったり、死後の世界などの具体的なもの、実体視したものとしては説いておらず、
それよりも
むしろ今、この世での生き方を説かれております。
ぜひとも今がどうあるべきなのか、
偏らずに、しっかりと自分を落ち着いて見ながら
仏の道としての行いをしていきましょう。
札幌の浄國寺さまにて
六道を救ってくださるお地蔵さま。
南無地蔵菩薩
2020.07.10
南無観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)
観音とは、サンスクリット語でアヴァローキテーシュヴァラを中国語に意訳された言葉です。
インド出身の鳩摩羅什(くまらじゅ)は、「見る」「観察する」という意味のアヴァローキテーと
「音」「声」という意味のシュヴァラより観音と訳されたようであり、
『西遊記』で有名な玄奘は、シュヴァラという言葉の意味を「自在な者」とされたようで
般若心経冒頭の言葉を観世音や観音ではなく「観自在菩薩」として訳されているのはそのためです。ですが、もちろん同じ仏さまです。
今回から曹洞宗でも特に親しまれております観音さまの妙徳などを
鳩摩羅什訳である『法華経』二十八品の中から「観世音菩薩普門品」第二十五より考えていこうと思います。
『観音経』を説くのはもちろんお釈迦さまです。
そしてご説法の場所は霊鷲山。
こちらは北東インド、ネパールの近くであり、今のラージギル(王舎城)付近にあります。
お釈迦さまのご説法の場として今なお大切にされております。私も2年前に行ってきました。名前からして、横から高台を眺めますと鷲のようにも見えてきます。
『法華経』をはじめ数多くのお経がここ霊鷲山で説かれております。
<観音経の背景として>
お釈迦さまはこの霊鷲山におり、周囲にはご説法を聞くために何万人もの人々が集まっているなか(衆中。八萬四千衆生、とお経には記載しており)
『観音経』の冒頭より、
「爾時。無盡意菩薩。即従座起。偏袒右肩。合掌向佛。而作是言」(にーじむーじんにぼーさそくじゅうざーきへんだーうーけんがっしょうこーぶつにーさーぜーごん)
【無盡意菩薩(むじんにぼさつ)が立ち上がり合掌し、観世音菩薩はどんないわれで観世音というのか、とお釈迦さまに問います。それに対し、お釈迦さまが答えていきます。】
「善男子。若有無量百千万億衆生。受諸苦悩。聞是観世音菩薩。一心称名観世音菩薩。即時観其音聲。皆得解脱。若有時是観世音菩薩名者。」(ぜーなんしにゃくうーむーりょうひゃくせんまんのくしゅうじょーくーのーもんぜーかんぜーおんぼーさーいっしんしょうみょうかんぜーおんぼーさーそくじーかんごーおんしょーかいとくげーだーにゃくうーじーぜーかんぜーおんぼーさーみょうしゃー)
【立派な若者よ、もし無量百千万億の生ける者たちがあってもろもろの苦悩を受けていたとして、この観世音菩薩の名を聞いて一心にその名を称えたならば、観世音菩薩は即時にその音声を観じて、皆、その苦しみから解放されるようにするのであろう】
そしてお釈迦さまは、観音さまの名を称えれば、「七難」を逃れることができ、また観音さまを心に念じたら、苦しみの根源である三毒、貪瞋痴(とんじんち)、貪欲・瞋恚(しんい(いかり)・痴(ぐち)から解放されることをお説きになっております。
有名な狩野元信筆『白衣観音図』
2020.07.05
本日7月5日は臨済宗の開山栄西禅師(1141年~1215年)の命日だそうです。
1141年に岡山県で生まれた栄西禅師、14歳で比叡山へ上り天台宗の教えを学び、
27歳の時に半年ほど、46歳の時には4年、2度も中国の宋へわたり、中国禅を学びます。
2度目の宋から戻ってくる際には、喫茶(お茶)をも持ち帰られ、禅と茶の結びつきにも深くかかわっております。
臨済宗は、『臨済録』や『無門関』『碧巌録』に示された中国禅僧の語録や提唱や言動など、
エピソードの意味を師が問い、弟子がその答えを坐禅をしながら考え導き出す。
その問答のやり取りを繰り返すことで悟りを目指す
という修行方法や考えであるようです。
臨済宗を看話禅ともよび、曹洞宗は黙照禅とよびます。
また、曹洞宗は壁に向かって坐禅をしますが、
臨済宗は壁を背にして坐ります。
道元禅師さまも(1200年~1253年)13歳で比叡山へのぼり、天台宗の教えを学んでおります。
しかし18歳の時に栄西禅師の開いた建仁寺へ入り、臨済禅の教えを
栄西禅師の弟子である明全(みょうぜん)さまより学びます。
24歳の時に、明全さんとともに宋へと向かわれます。
2020.06.24
来月や再来月に初めてのお盆をお迎えになる仏さまがいる皆さま方へ
私の住んでいる地域では7月と8月それぞれの地域にてお盆 を迎えています。
お盆は年に一度、ご先祖さまを家にお迎えする行事です。
年に一度戻ってこられたご先祖さまが、ゆったりできるよう(ご先祖さまは、たーくさんいます)
部屋を用意しましたり、 ご馳走をどうぞ、という私たちの想いで、お仏壇に沢山のお供えを飾ったり、精霊棚(しょうりょうだな)を作られたり、お仏壇と同様以上に沢山のお供え物をこしらえております。
精霊棚ではとくにお馴染みなのが、
ナスやキュウリで作られた牛と馬です。
来る時は 馬に乗って、早く懐かしい我が家へ
帰る時は 牛に土産を積み、ゆっくりおかえりください。ということです。ご先祖さまを想う、昔の人の優しい心が偲ばれますね。
最近は住まいの事情で、家に仏壇がないお宅もあるようですが、
今回は「仏壇の目的が何であるか」を考えてみたいと思います。
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お仏壇は単に、ご先祖さまの位牌をまつるところではありません。
実は、何がまつられていようと「拝む人の心」が その本尊の仏像なのです。
皆、それぞれの心の中には「仏の心」がきっと必ずあります。(今はわからなくとも必ず手を合わせる時が自ずとあります)
お仏壇を拝むこと、
それは 自分の中に潜む「仏心」を拝むことに他なりません。
しかもお仏壇があるのであれば、お仏壇に向かって、お参りすることこそ意味があります。
六波羅蜜の布施、持戒、忍辱、禅定、精進、智慧を行じています。
仏さまに お水やお花を奉るという心は、
お布施(ふせ)=与えるということです。
そして、そのお花は 忍辱(にんにく)=耐え忍ぶことを表したものであり
怒りや腹立ちなどの煩悩を忍耐する、心の象徴とされています。
お線香をあげるのは、精進(しょうじん)=努力すること。
お線香は一度火をつけますと、燃え尽きる最後まで持続します。
私たちも最後まで辛抱強く、努力精進する心が大切です。
お膳を供えるのは、禅定(ぜんじょう)=心の安定。
腹が減っては戦はできぬ。何よりもまず、お腹を満たすことが大事です。
そして暗闇の中(自分の煩悩や迷い)に、ホッと明かりが灯る。
その明かりが 智慧(ちえ)の灯明です。
このように、仏さまに供えるものは一つ一つ自分の心の象徴であり
左右に花と灯明、真ん中にお香、その前にお膳というように位置が決まっています。
この位置が決まっていることが、持戒(じかい)=戒律です。
日常茶飯の仏事にも、深遠なる教えが含まれております。
お仏壇に向かって 合掌礼拝することは「六波羅蜜を行ずる」こと、仏道そのものなわけであり、
いわゆる「修行」を行っているのです。
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私は朝起きて、仏さまに「今日も一日よろしくお願いします」と手を合わせ
夜は「今日も無事に終えることが出来ました。ありがとうございました」と感謝します。
また 畑でできた初物も、お客様から頂いた物も
まずはお仏壇にお供えし、仏さまから召し上がってもらいます。
ちょっとした習慣ですが、これも「立派な信仰の一つ」だと思っています。
毎日、仏さまを拝みつつ
時に ご先祖さまを偲び、時に 自分の中にある仏心に問いかけることが、
ホッと心が落ち着き、心の拠り所となっています。
皎月院副住職は、東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨などご要望によりご自宅や墓前でのお参りを承けたまっております。
2020.06.23
合 掌 の 妙 徳
特に日本人は普段から手を合わせる習慣があります。
それは、産まれたときから
『ありがとう』や『いただきます』『ご馳走さまでした』の感謝の【意】としてされています。
ですが、『おかげさまで~○○』のようなときも、
ご先祖さまや、有縁・無縁の全てに感謝をしながら手を合わせ、合掌印という仏さまの姿を現しているということも忘れてはなりません。
南無本師釈迦牟尼佛
南無高祖承陽大師(道元禅師)
南無太祖常済大師(瑩山禅師)
清水
御縁をありがとうございます。
駒大高校、駒澤大学卒業後平成13年冬に大本山永平寺(福井県)へ安居(修行)。平成15年より北海道へ修行。平成23年4月より皎月院へと戻り副住職として補佐をさせて頂いております清水亨龍(こうりゅう)です。 合掌
私の趣味はクライミング、スノーボードなど身体を動かす事です。また旅行も大好きです。ぜひ皆さま気軽にメールやお電話お待ちしております。
どうぞよろしくお願いします
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