曹洞宗 常圓山 皎月院

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禅のことば

2020.11.13

食の施し

永平寺での小食(しょうじき朝食)は必ずお粥でした。それも玄米がほとんどでした。

中食(ちゅうじき昼食)は麦ご飯です。

朝、昼の食事を頂く前に

『施食偈』という、偈文も必ずお唱えします。

朝は、

「粥有十利(しゅうゆうじり) 饒益行人(にょいあんじん)果報無辺(こほうぶへん ) 究竟常楽(きゅうきんじょうら)」

【粥には十利有り。行人を饒益(にょうやく)す。

果報無辺にして、究竟して常楽なり。】

お粥には十の利益、利点があります。

1、色(しき)。 体の肌、色つやが良くなる。

2、力(りき)。気力が増す。

3、寿(じゅ)。長命となる。

4、楽(らく)。過食とならず体が安楽。

5、詞清弁(ししょうべん)。言葉が清くさわやかになる。

6、宿食除(しゅくじきじょ)。宿とは古い意味。食べたものが消化しやすく、胸やけしにくい。

7、風除(ふうじょ)。風邪をひかない。

8、飢消(きしょう)。消化よく栄養となって身体に飢えを消す。

9、渇消(かつしょう)。喉の乾きが止まる。

10、大小便調適(だいしょうべんちょうてき)。便通が良い。

お粥を食すことは、饒益(にょうやく)、多くの利益をもたらし、安楽を得るでしょう。

次にお昼は、

「三徳六味(さんてるみ) 施仏及僧(しふぎゅすん) 法界有情(はかいうじん) 普同供養(ふずんきゅうにょう)」

【三徳六味を、仏及び僧と、法界の有情に施し、普ねく同じく供養せん。】

食物は三つの徳と六味を具していなければならない。

【三徳】

1、軽軟(きょうなん)。ご飯は柔らかくふっくらと。

2、浄潔(じょうけつ)。すべてきれいに料理する。

3、如法作(にょほうさ)。物のいのちをいかし、法にかなった料理作りをする。

【六味】

1、苦(く)。苦味

2、醋(さく)。すあじ。酸味。

3、甘(かん)。甘味

4、辛(しん)。辛味

5、鹹(かん)。塩味

6、淡(たん)。薄味

調理する物によって、色々と調合したり、香りよく、目に美しく、そして味良きものです。

三徳六味をそなえた食事を、ありとあらゆる人に施し、皆が等しく仏へと成る仏道修行に励むことができますように。

 

禅のことば

2020.11.12

食事での偈文

食事を頂くにあたり、作法があり

それぞれで唱える偈文があります。

先ずは

「応量器(おうりょうき)」という

食器をひろげる際に唱える偈文

『展鉢偈(てんぱつげ)』

「仏生迦毘羅(ぶっしょうかびら) 成道摩掲陀(じょうどうまかだ) 説法波羅奈(せっぽうはらな) 入滅拘絺羅(にゅうめつくちら)

如来応量器(にょらいおうりょうき) 我今得敷展(がこんとくふてん) 願共一切衆(がんぐいっさいしゅ) 等三輪空寂(とうさんりんくうじゃく)」

【仏は迦毘羅に生まれ、摩掲陀に成道し、波羅奈に法を説き、拘絺羅に入滅したもう。

如来の応量器、我今(われいま)敷展することを得る。願わくは一切衆生と共に、等しく三輪空寂ならん】

前半は、お釈迦さまの生涯を短い語句でまとめられております。後半の如来応量器のあと4句が、展鉢の偈文です。応量器とは、

鉢多羅(はつたら)の訳で、鉢盂ともいいます。

一人の食事の量に応(かな)う器と言う意味です。

昔の修行僧、出家人はすべて供養していただいた物を受けて生活修行されてましたが、供養を受けるにあたり「量を知り、足ることを知る」が大切であり、自らが供養を受けるにあたるに相応しい行いをおこなっているかどうか。

食事は、自らの空腹を充たすというだけではなく、願わくは、すべての人々に等しく(三輪である施者、受者、施物)清らかな心を観じて、道を空寂(さとる)ことができますように。

という誓いの偈文です。

禅のことば 道元さまのお言葉

2020.11.08

仏性

「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」という有名な言葉がありますが、

この世の存在はことごとく仏以外のなにものでもない

というような意味です。

では、仏性とは何なんであるのか?仏さまであれば、お釈迦さま、如来、菩薩などとわかりますが、性は何であるか?心や魂、霊魂といったものであるのか?

中国の唐の時代である六祖慧能大和尚が

「無常はすなはち仏性なり、有常はすなわち一切諸法の分別心なり」

と述べられております。

無常こそが仏の本質であり、たとえ永遠不滅の存在が何であるか考えるなら、人間の誤った勝手な分別に過ぎないというのです。

道元禅師さまは、このことばをさらに説き明かしてくださっております。

「草木叢林(そうりん)の無常なるすなはち仏性なり、人物身心の無常なるこれ仏性なり、国土山河の無常なるこれ仏性なるによりてなり。」

【草も木も、草むらも林もすべて無常であるが、それゆえにこそ仏性そのものなのだ。人も物も、身も心も無常であるが、だからこそ仏性なのである。国土や山河も無常そのものであるが、これは仏性にほかならないからなのである。】

と言うことで、

“仏性とは、無常”

であると言うことです。

無常とは、死を連想してしまいそうですが、私たちがこの世に生を受けたことも成長することも無常です。

季節

2020.11.07

立冬

本日11月7日が立冬の初日です。

今年は22日が小雪ですので、21日までになります。

立冬は、「はじめて冬の気配があらわれてくるくる日」とされております。

昨日は八王子でも雪虫が飛んでおりました。

朝晩が冷え込み始めました。寒暖差からの体調を崩しやすくなりますので、

旬を迎える食材を使って栄養を補給し、しっかりと体調を管理する時期なのかもしれません。

11月7日は「鍋の日」ともなっているようです。

 

 

 

 

曹洞宗

2020.11.06

總持寺移転

曹洞宗大本山總持寺は、1321年(元亨元年)

能登(石川県)の地に瑩山禅師さまによって開かれました。

以来、能登にあって人々の信仰を集めてきましたが、

1898年(明治31年)4月13日午後九時から

14日午前2時まで、5時間にわたる火災により伽藍(がらん)の大部分が焼失したのを契機とされ、

時代の推移と宗門の要請により1911年(同44年)に横浜鶴見の地へ移転されました。

2011年(平成23年)は、總持寺が横浜に移転して100年目の節目にあたりました。

 

ですが、調べていきますと移転の原因は明治政府による

宗教政策である神仏分離令やそれに伴う廃仏棄釈が行われ、日本仏教史上最大の法難であったともされます。

経済的にも1871年(明治4年)に行われた社寺領上地令により、

寺領の四百石も政府に没収されてしまう。

また、多くの援助を受けていた前田家からも途絶えてしまったからでもあるようです。

それにより多くの借金をされてもいます。

消失カ所は、仏殿、法堂などのメインや修行する大部分が消失してしまいました。

1590年(天正18年)と1806年(文化3年)にも火災により被害は甚大でした。

幸いなことに、経蔵や宝蔵が消失しませんでした。助かりました。

明治44年11月5日に、

移転遷祖式として当時の總持寺禅師さま石川猊下により法要が行われました。

それからは、11月5日を總持寺御移転記念日とされております。

皎月院 こうげついん 副住職プロフィール

皎月院副住職 清水 亨龍

清水 亨龍 こうりゅう

御縁をありがとうございます。
駒大高校、駒澤大学卒業後平成13年冬に大本山永平寺(福井県)へ安居(修行)。平成15年より北海道へ修行。平成23年4月より皎月院へと戻り副住職として補佐をさせて頂いております清水亨龍(こうりゅう)です。 合掌

私の趣味はクライミング、スノーボードなど身体を動かす事です。また旅行も大好きです。ぜひ皆さま気軽にメールやお電話お待ちしております。

どうぞよろしくお願いします
(^人^)

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